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自我とは何か?

自我やエゴというと、なんだか傲慢で自由奔放な人を思い浮かべてしまいます。

ですが、心理学での自我やエゴというのは全く逆で、自我やエゴが育っていないと、問題行動が多くなってしまうんです。

目次

自我(エゴ)とは本能の調整をするココロの機能

私たちの中には本能的な欲求のエネルギー(イド)があります。不快を避けて、快を求める衝動です。

しかし、イドのまま行動をしても、現実という壁にぶち当たります。その時に葛藤が生まれます。

自我とは、イドを調整して、現実に適応するココロの装置です。

自我のおかげで私たちは安全で安定して生きることができるんです。

超自我とエゴの間で、大車輪の活躍をするのが自我(エゴ)であり、その調整の機能を「防衛機制」と言います。

例えば、ブランコで遊びたいけれど、先に遊んでいる人がいたから、奪うんじゃなく、葛藤を消化して、順番を待ちますね?。これが自我の役割(防衛機制)です。

自我はココロの中のイド欲求をよく理解して調整しますが、超自我は親や先生のしつけや指導など外から来たものをココロの中に取り込んだもので、イドや自我を「上から」検閲します。

親のしつけが厳しいと、「〜すべきだ」「〜してはいけない」という抑制が強くなりすぎたり、罪悪感を抱えやすくなります。

イドを守り調整する自我は、超自我とイドの両方の調整をして、それを抑圧したり、客観的に考えたり(知性化)、その遊具はきっと楽しくないと思い込んだり(合理化)、さまざまな調整をしてココロの安定をはかります。

育てるべきは自我だった

成長すると、勉強、受験、仕事など、様々な人間関係や環境や困難にぶつかり、適応や対応をしていきます。自我がなかったら、イドと超自我ばかりが暴走したら、心の葛藤を扱えません。メンタル失調になったり、暴力、いじめ、アルコール依存、ギャンブル依存などの問題行動になったり、希死念慮が出たりします。

よく「我が強い」という言い方がありますが、自我はしっかりしていないと現実との調整がうまくできなくなるので、育てなければなりません。

そのためには、幼少期の生育状況がとても大切です。

機嫌が悪くなる、もやもやする、そして泣きわめく子供たち。

その時に親が「お腹が空いていたんだね」「眠たかったんだね」と理解を示してくれる。そうすると「ああ、このモヤモヤの感覚はこういうことなんだ」と次第に理解ができるようになります。

逆に「静かにしなさい!」なんて叱られたら、モヤモヤの理解ができないまま、超自我で自分を押さえ込むようになり、自我の防衛機制が形成されないまま育っていくことになります。

愛着障害というものですが、よくあることなのではないでしょうか。

無条件の愛で安心して育つ

いい子とか優秀だとかそんなことは二の次で、存在自体を無条件に愛してくれる、そんな安心できる環境で育つこと。

「いい子にしなさい」「お兄ちゃんなんだから」「もうお姉ちゃんでしょ」

イドとエゴの関係がまだ不安定な子供の時に、成果や役割、教訓のようなもので行動を規制すると、自我が十分に育たず、超自我が強くなりすぎます。

安心して家庭の中で生育すること、そしてある年齢に達したら、子ども園や小学校で親から離れたところで友達と遊べるようになり、家族の外に違う評価をしてくれるコミュニティがある、というのが大切で、友達との仲間意識やグループ意識の中で様々なコミュニティへの社会適応力が育まれます。

こうした幼少期の発育や経験が、大人になっても影響してきます。13歳以降、アイデンティティを確立していきますが、安心して生育し、それを土台に社会性を獲得していく先に、自分と他人の区別ができるようになり、アイデンティティを獲得していくのです。

安心がなければ、失敗や挫折から学ぶという「グッド・ルーザー(良い敗者)」になることができません。失敗を悔やむのではなく、失敗は「フィードバック」であり、新しい方向性や改善するべき点を見出したり、次に挑戦すれば大丈夫という前向きな姿勢が育まれます。

こうしてシチュエーションやいろいろなタイプの人と関わる中で、自分と他人の違いがわかってくる。アイデンティティというものが形成されていきます。

自我の形成をし続ける人生

人は、アフリカのサバンナの草食動物と違い、生育に多くの時間と大変な労力を要します。「成果主義」で人生を考えるならば、子供を産んで育てることは、生産性が決して良くありません。

大変な労力がかかりますが、20年もすれば自分たちの元を去ってしまうかもしれません。

人の人生は短いです。与えられている時間も違います。心理学を学んで良かったと思うことは、ここにあります。

人は人をもっと知ろうとしたほうがいいと感じています。

人生は、いろいろな出来事を通して「ココロのあり方」「日々のありよう」を味わい、積み上げる時間だとするならば、歳をとり、自分も社会も常に変化していくことを、できるだけよく味わわないともったいないですね。

自我の形成は大人になっても続きます。役割が変わるからです。家族、会社、地域、友人関係など役割はいくつもあり、役職や環境の変化、別れもあります。

常に変化する現実、外的な条件に対応するため、自我の形成や調整の仕方を改めて作り直す時は必ずあります。

幼少期に発達課題を十分に乗り越えられなかった場合は、その時に、より多くの課題と向き合うことになりますし、心理カウンセラーや心理士など、専門家のガイドがないと、地図なしで進むように感じるかもしれません。

ですが、それらすべてが、目の前の時間をより深いものにしてくれるものであり、「イドと自我」の関係がどのようなものであるかで、同じ状況がまるで違って見えます。

それくらい自我というものは大切なものだと思います。

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